Clásicos japoneses con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lee 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 232.543 caracteres · 466 pantallas
「そうは思えないね……佃さん、あなたもお読みでしたろう……どうお考えです?」
伸子は、夫が答える顔を見ていられず、暗い廊下の葭戸の方を眺めた。
「……私は、御承知の通り、このひとの書くものには、絶対の自由を認めておりますから……」
伸子は、自分に有利な弁明だのに、なぜか、この寛大らしい返答から真実を感じず、夫の狡さのようなものを感じた。滑っこい、解ったような解らないようなこの答えかたは、時によって、伸子自身にも向けられる夫の遁辞となることを彼女は感じ、坐っている場所が沈んで行くように思った。何を書こうと、彼女の自由です――その自由を私は認めている。それ故、書いたものは飽くまでも書いたもの。そこに、どんな苦しみや涙があろうとも、それは、自分や互の生活に全然かかわりない彼女の書いたもの――ほう、何と胸に浸み徹る、冷たい寛容さ! 伸子が、このような思いをつづけている間に、多計代は話を進めた。
「――それはそうでしょうが……私はこの間から考えて、どうも伸子が今度あれを書いたのには、訳がありそうに――まあそこまで行かないにしろ、何か感化がありそうに思われて来ました――そうじゃありますまいかね、公平に云って」