Clásicos japoneses con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lee 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 232.543 caracteres · 466 pantallas
彼は、帰りを待つあいだ伸子と喋る。そのようなことが度かさなるにつれ、伸子はいつとなし佃の身の上について細かいことまで知った。佃は生れてじき実の母に死に別れた、のち第二の母に世話を受け、二十越したばかりの時ある宣教師をたよって、渡米して来たのであった。それから凡そ十五年間稼いで勉強する生活を続けて来た。彼の、生活に対する、抵抗力の強そうなところ、求めたところで経済的にも時間的にも得られない社会の快楽に対して、ストイックな、同時に何か僻んだところのなくもない侮蔑を抱いているようなところ、彼の身の上話を聞けば、はっきりそれらの心理的な原因が理解されるのであった。しかし、佃の魂はそれなら本当に気強く、堅忍主義によって朗かに安心していたであろうか。
佃が足繁く父娘を訪ねて来、また三時間でも四時間でも飽きず伸子と話している。そのうちに彼女は佃が自然に求めているものを告白しているのを感じた。孤独らしい佃にとって、自分が幾分慰めとなっているという意識は、若い女である伸子にわるい心地でなかった。彼に何か頼むこと、彼にとって頼まれることは、ただの事務打ち合せより何かほんのりした、人情の破片なのであった。