Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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おおおかえちぜんのどくりつ

大岡越前の独立

直木 三十五

Lee 大岡越前の独立 (おおおかえちぜんのどくりつ) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 11.968 caracteres · 24 pantallas

Aozora Bunko

「うむ――」

信祝は、火箸を灰へ突立てて押えながら

「残りなく、調べたのう」

「はっ、村役人、庄屋、近くの者共、郡奉行所へもまいりまして御座りまする」

と、懐中から、村役人、郡奉行在判の天一坊の身許についての、調査書を出すと、

「御覧下されまするよう」

と、前へ置いた。信祝は、燭台の方へ向くと、大判美濃紙を薄く綴った書類を眺めて

「ふむ――存じ寄り申さず、が、多いの」

「はっ、澤の井と申される女子も、その母親も、十数年前に死去致し、郡奉行、村役人とも、当時在勤の者がおりませず、ただ、近所の百姓共の申し分には、確かに、御落胤らしき小児が、感応院におりましたが、いつの間にかいなくなったと、申すばかりにて、皆々天一坊を御落胤と心得ておりまする」

信祝は、書類を置くと

「大儀であった――近々、もう一度行ってもらいたい」

「はっ」

「寒かったであろう、道中は――」

「左ほどでも御座りませぬ。御前の御好物、蜜柑を持ち戻りまして御座りますが――」

「うむ、珍重じゃの、この冬にない初物じゃ、ゆっくり休むがよい」

右京の去った後で、信祝は、もう一度書類を読み直したが、床の間から、革帯のかかった手箱を取ると、錠を開けて、下の方へ仕舞込んでしまった。