Clásicos japoneses con furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lee 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 267.766 caracteres · 530 pantallas
端坐している武士であって、この武士の特色ともいうべきものは、女などよりも髪の毛が多く、女などよりも髪の毛が黒く、艶々と光っていることであった。
「そうとも、苦痛のことではないよ。いや苦痛の反対だ」ここでその武士は腕を組んで、考えるように首を傾げた。で、左の半面が、燈火の光にそむくようになった。そのためでもあろう、端麗の鼻が、一方の側へ濃い陰をつけて、その端麗さを浮き彫りにした。「ああ、だがあれはどこだったろう? 俺が夢をむさぼったのは?」ここでその武士は左へ傾げていた首を、右のほうへ傾げ変えた。で、鼻の反対側に同じように陰が濃くついて、同じように端麗さを浮き彫りにした。
「めっきり記憶がなくなってしまった。俺の頭はどうかしている。いやいや頭ばかりではない、身体全体がどうかしている。精力がない! 虚茫けてしまった。……はっきり覚えていることといえば、その時の痙攣一つだけだ」
「俺といえどもそうなんだよ」ややあってこのようにいうものがあったが、それは燭台に遠く離れて胡坐をかいている武士であった。三日も四日も日の目を見ずに、寝部屋ばっかりに伏せっていて、異性の匂いばかりを嗜んでいたため衰弱し切った若い男に、往々見られるそれのような、怪しい淫な病的な、赤味を頬に持っていて、それがかえって美しい、――といったような武士