Clásicos japoneses con furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lee 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 86.787 caracteres · 177 pantallas
広間の中では、君長は二人の宿禰と、数人の童男と使部とを傍に従えて、前方の蒸被の方を眺めていた。数箇の燈油の皿に燃えている燈火は、一様に君長の方へ揺れていた。暫くして、そこへ、数人の兵士たちを従えて現れたのは長羅であった。
「父よ、我は勝った。我は不弥の宮の南北から襲め寄せた。」と長羅はいった。
「美女は何処か。」
「父よ。我は不弥の宮に立てる生き物を残さなかった。我は王を殺した、王妃を刺した。」
「美女をとったか。」
「美女をとった。そうして、宝剣と鏡をとった。我の奪った宝剣を爾は受けよ。」
「美女は何処か。不弥の美女は潮の匂いがするであろう。」
長羅は兵士たちの持って来た剣と、苧の袋の中からとり出した鏡と琅の勾玉とを父の前に並べていった。
「父よ。爾は爾の好む宝を選べ。宝剣は韓土の鉄。奴国の武器庫を飾るであろう。」
「長羅よ。我は爾の殊勲に爾の好む宝剣を与えるであろう。我に美女を見せよ。不弥の美女は何処にいるか。」
君長は御席の上から立ち上った。長羅は一人の兵士に命じて言った。
「連れよ。」
卑弥呼は後に剣を抜いた数人の兵士に守られて、広間の中へ連れられた。君長は卑弥呼を見ると、獣慾に声を失った笑顔の中から今や手を延さんと思われるばかりに、その肥えた体躯を揺り動かして彼女にいった。