Clásicos japoneses con furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lee 湖畔亭事件 (こはんていじけん) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 69.335 caracteres · 137 pantallas
「その鏡に見えた傷痕というのは、実はこれと同様の煤の汚れに過ぎなかったのではないか。私はそこへ気がついたのです。そんなぼんやりした像ですから、煤の一本筋がどうかして傷痕に見えなかったとはいえません。ね、君はどう思います?」
河野に意見を聞かれて私は少し考えました。
「一刹那の出来事だったから、或は見違えたかも知れませんが」
私の頭からは、まだ例の傷痕の印象が消えていない。従って、どうも煤の汚れだなどとは思えぬのです。
「鏡に映ったのは、こんな手ではなかったですか」
すると、河野はいきなり彼の右手の甲を私の目の前に差し出しました。見るとそこには、手の甲一杯に、斜かけの黒い線が引かれています。それが余りに鏡で見たものと似ているため、私は思わず叫ばないではいられませんでした。
「それです、それです。君はどうして、そんな傷痕があるのです」
「傷じゃない。やっぱり煤ですよ。妙に似ていますね」河野は感心した様に自分の手を眺めながら「そういう訳で、三造を疑わしく思ったものですから、私はさっきいった焚場の棚を調べて見ました。無論三造のいない時にですよ。すると例のブリキ箱です。