Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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こはんていじけん

湖畔亭事件

江戸川 乱歩

Lee 湖畔亭事件 (こはんていじけん) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 69.335 caracteres · 137 pantallas

Aozora Bunko

でも、そうしていても際限がありませんので、レンズの装置を取外すことなぞはあと廻しにして、私は慌ただしく唯一の相談相手である河野の部屋を訪れました。そして、よく寐入っている彼を無遠慮に叩き起し、しかしあたりをはばかる囁き声で、事の仔細を語るのでした。

「それは妙ですね」すると河野も変な顔をして「犯人がわざわざ帰って来るはずはありませんよ。それに、手首を見ただけで昨日の加害者だということがどうして分りました」

この質問にあって、私は初めてそのことに気がつきました。私は迂闊にも、まだ一度も手首の傷痕のことを彼に話していないのでした。それと同時に、松永と自称する男或はその同伴者の手首に、果して同じ傷痕があったかという点に思い及んで、その重大な事柄を一度も考えて見なかった私の愚さが、今更恥かしくなるのでした。

「そうですか。そんな目印があったのですか」

河野は非常に驚いた様に見えました。

「エエ、あれは多分右手なんでしょうが、こうはすかけに、一文字の太い線が、ドス黒く見えていたのです」

「しかし、それがあなたの見違いでないとすると、なお更変ですね」河野はやや疑わし気に「私は宿の人達はいうに及ばず、泊り客なども注意して観察していましたが、手の甲に傷のある者は一人も見かけませんでしたよ。