Clásicos japoneses con furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lee 源頼朝 (みなもとよりとも) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 306.118 caracteres · 613 pantallas
過ぐる頃、伊豆のご配所より、旗上げの御状をひそかにいただいており、懸命、四囲の妨げを突き破って、夜を日についで、これまで駈けつけて来たのでござる。……一刻もはやく、兄君のお顔を拝したいのです。……どうか、おはやく、この由を」
義経には冷静に云いつづけられなかった。ともすれば、ここの門前で、もう涙が先立ちそうでならなかった。彼の胸には鞍馬以来の――いやそれよりもずっと前の――雪のふる日までが胸を往来していた。その雪の日や平治の戦乱は、記憶にあるはずもなかったが、幼な心に聞いていたくさぐさの事が、後には皆、幼少の体験をそのまま記憶しているように、今でも胸に甦って来るのであった。
「ならぬッ」
番の武者は、水でも浴びせるように、いきなり叱った。
「鎌倉殿に対して、兄の弟のと、馴々しいことば遣い、聞き捨てにならぬ無礼であるが、多分、人違いであろう。さもなくば狂人か」
と、義経のうしろに立っている二名の郎党へ向って、
「これは、其方どもの主人か。はや召連れて、ご門前を退け。ぐずぐずいたしおると、用捨せぬぞ」
「あいや!」
ふたりの郎党は、義経の前へ出て、さらに大声で何か云おうとした。