Clásicos japoneses con furigana
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ぼくとうきだん
濹東綺譚
永井 荷風
Lee 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 57.666 caracteres · 114 pantallas
初ての日を思返すのは、その時の事を心に嬉しく思うが為と見なければならない。然しわたくしはこの土地の女がわたくしのような老人に対して、尤も先方ではわたくしの年を四十歳位に見ているが、それにしても好いたの惚れたのというような若くはそれに似た柔く温な感情を起し得るものとは、夢にも思って居なかった。
わたくしが殆ど毎夜のように足繁く通って来るのは、既に幾度か記述したように、種々な理由があったからである。創作「失踪」の実地観察。ラディオからの逃走。銀座丸ノ内のような首都枢要の市街に対する嫌悪。其他の理由もあるが、いずれも女に向って語り得べき事ではない。わたくしはお雪の家を夜の散歩の休憩所にしていたに過ぎないのであるが、そうする為には方便として口から出まかせの虚言もついた。故意に欺くつもりではないが、最初女の誤り認めた事を訂正もせず、寧ろ興にまかせてその誤認を猶深くするような挙動や話をして、身分を晦した。この責だけは免れないかも知れない。
わたくしはこの東京のみならず、西洋に在っても、売笑の巷の外、殆その他の社会を知らないと云ってもよい。其由来はここに述べたくもなく、又述べる必要もあるまい。