Clásicos japoneses con furigana
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ぼくとうきだん
濹東綺譚
永井 荷風
Lee 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 57.666 caracteres · 114 pantallas
一たび別れてしまえば生涯相逢うべき機会も手段もない間柄である。軽い恋愛の遊戯とは云いながら、再会の望みなき事を初めから知りぬいていた別離の情は、強いて之を語ろうとすれば誇張に陥り、之を軽々に叙し去れば情を尽さぬ憾みがある。ピエールロッチの名著阿菊さんの末段は、能く這般の情緒を描き尽し、人をして暗涙を催さしむる力があった。わたくしが※(「さんずい+(壥-土へん-厂)」、第3水準1-87-25)東綺譚の一篇に小説的色彩を添加しようとしても、それは徒にロッチの筆を学んで至らざるの笑を招くに過ぎぬかも知れない。
わたくしはお雪が永く溝際の家にいて、極めて廉価に其媚を売るものでない事は、何のいわれもなく早くから之を予想していた。若い頃、わたくしは遊里の消息に通暁した老人から、こんな話をきかされたことがあった。これほど気に入った女はない。早く話をつけないと、外のお客に身受けをされてしまいはせぬかと思うような気がすると、其女はきっと病気で死ぬか、そうでなければ突然厭な男に身受をされて遠い国へ行ってしまう。何の訳もない気病みというものは不思議に当るものだと云う話である。