Clásicos japoneses con furigana
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がらすどのうち
硝子戸の中
Lee 硝子戸の中 (がらすどのうち) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 52.702 caracteres · 105 pantallas
二十
赤く塗られた門の後は、深い竹藪で一面に掩われているので、中にどんなものがあるか通りからは全く見えなかったが、その奥でする朝晩の御勤の鉦の音は、今でも私の耳に残っている。ことに霧の多い秋から木枯の吹く冬へかけて、カンカンと鳴る西閑寺の鉦の音は、いつでも私の心に悲しくて冷たい或物を叩き込むように小さい私の気分を寒くした。
二十
この豆腐屋の隣に寄席が一軒あったのを、私は夢幻のようにまだ覚えている。こんな場末に人寄場のあろうはずがないというのが、私の記憶に霞をかけるせいだろう、私はそれを思い出すたびに、奇異な感じに打たれながら、不思議そうな眼を見張って、遠い私の過去をふり返るのが常である。
その席亭の主人というのは、町内の鳶頭で、時々目暗縞の腹掛に赤い筋の入った印袢纏を着て、突っかけ草履か何かでよく表を歩いていた。そこにまた御藤さんという娘があって、その人の容色がよく家のものの口に上った事も、まだ私の記憶を離れずにいる。後には養子を貰ったが、それが口髭を生やした立派な男だったので、私はちょっと驚ろかされた。御藤さんの方でも自慢の養子だという評判が高かったが、後から聞いて見ると、この人はどこかの区役所の書記だとかいう話であった。