Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lee 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 188.242 caracteres · 380 pantallas

Aozora Bunko

そうして長い間啼き止まなかった。

一所に熔岩の層があった。その裾を清水が流れていた。その縁を彼が行き過ぎた時、一瞬間水が火となった。

暖かい人情に憧憬れながら、産れ故郷の甲府を差して、仮面の城主は歩いて行った。

林が途切れて禿山となった。

その禿山を向こうへ越した。

そこに谿が横仆わっていた。そうして谿底へ下りた時、彼は最初の休憩をとった。

夜は容易に明けようとはしない。

彼は歩かなければならなかった。

また一団の燃える焔が、谿の斜面を這って行った。

甲府よ甲府よ懐しい甲府よ!

で、彼は上り切った。

狼が一匹眠っていた。彼は饑えてはいなかった。今は既に冬ではなかった。彼の獲物は到る所にあった。地に仆れた朽木の洞に、満腹の体を長々と延ばし快さそうに眠っていた。

彼の眼を覚ますものがあった。それは熱のない火光であった。彼は猛然と洞を出た。しかしすぐに背を縮め、尾を両脚の間へ入れ、耳を背後へ思うさま引いた。何故吠えないのだ狼よ!

産まれて初めての恐ろしいものが、その前を走るように通るからであった。

二

精進湖の岸まで来た時にも、まだ春の夜は明けなかった。