Clásicos japoneses con furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lee 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 188.242 caracteres · 380 pantallas
絹糸のような片雲であった。眼界を掠めて飛ぶものがあった。雀でなければ烏であった。
日光が彼を酒浸しにした。
ブーンと耳もとで唸るものがあった。労働蜂の羽音であった。
五匹、十匹と飛んで来た。その一匹が黐棹へ止まった。と、黐が食っ付いた。蜂は翅を顫わせた。そうして飛び立とう飛び立とうとした。飛び立つことは出来なかった。小さな体が黐にまみれた。翅を鳴らすことさえ出来なくなった。触角だけを顫わせた。その触角も動かなくなった。一つの黒い塊となった。何んでもなかった。小さい「死」だ。
「さてこれからどうしたものだ」
甚太郎は考え出した。
「お月姉さんはいい人だ。だがどうにもしようがない。夫婦になれるものじゃあなし」
こんな悪いことを考え出した。
「あれは仙女だ。人間じゃあねえ。綺麗だけれど冷っこいや。まるで血の気なんかありゃあしねえ。……だがマアそんな事あどうでもいい。うん、そんな事あどうでもいいが、よくねえ事が一つある。他でもねえ俺の役目だ」
役目のことを考え出した。
「有難くねえ役目だよ。現在の従兄をとっ捉まえて、しょびいて帰ろうって云うんだからな。俺らは褒美を貰うだろうさ、だがその代り庄三郎さんは、掟通り首を切られなけりゃあならねえ。