Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

すさのおのみこと

素戔嗚尊

芥川 竜之介

Lee 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 42.917 caracteres · 86 pantallas

Aozora Bunko

その間に彼はあの娘と、朝早く同じ噴き井の前で、たった一度落合った事があった。娘は例のごとく素焼の甕を頭の上に載せながら、四五人の部落の女たちと一しょに、ちょうど白椿の下を去ろうとしていた。が、彼の顔を見ると、彼女は急に唇を歪めて、蔑むような表情を水々しい眼に浮べたまま、昂然と一人先に立って、彼の傍を通り過ぎた。彼はいつもの通り顔を赤めた上に、その日は何とも名状し難い不快な感じまで味わされた。「おれは莫迦だ。あの娘はたとい生まれ変っても、おれの妻になるような女ではない。」――そう云う絶望に近い心もちも、しばらくは彼を離れなかった。しかし牛飼の若者が、否やの返事を持って来ない事は、人の好い彼に多少ながら、希望を抱かせる力になった。彼はそれ以来すべてをこの未知の答えに懸けて、二度と苦しい思いをしないために、当分はあの噴き井の近くへも立ち寄るまいと私かに決心した。

ところが彼はある日の日暮、天の安河の河原を歩いていると、折からその若者が馬を洗っているのに出会った。若者は彼に見つかった事が、明かに気まずいようであった。同時に彼も何となく口が利き悪い気もちになって、しばらくは入日の光に煙った河原蓬の中へ佇みながら、艶々と水をかぶっている黒馬の毛並を眺めていた。