Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
すさのおのみこと
素戔嗚尊
Lee 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 42.917 caracteres · 86 pantallas
四
四
二人はこう云う力競べを何回となく闘わせた。その内に追い追い二人とも、疲労の気色を現して来た。彼等の顔や手足には、玉のような汗が滴っていた。のみならず彼等の着ている倭衣は、模様の赤黒も見えないほど、一面に砂にまみれていた。それでも彼等は息を切らせながら、必死に巌石を擡げ合って、最後の勝敗が決するまでは容易に止めそうな容子もなかった。
彼等を取り巻いた若者たちの興味は、二人の疲労が加わるのにつれて、益々強くなるらしかった。この点ではこの若者たちも闘鶏や闘犬の見物同様、残忍でもあれば冷酷でもあった。彼等はもう猪首の若者に特別な好意を持たなかった。それにはすでに勝負の興味が、余りに強く彼等の心を興奮の網に捉えていた。だから彼等は二人の力者に、代る代る声援を与えた。古来そのために無数の鶏、無数の犬、無数の人間が徒らに尊い血を流した、――宿命的にあらゆる物を狂気にさせる声援を与えた。
勿論この声援は二人の若者にも作用した。彼等は互に血走った眼の中に、恐るべき憎悪を感じ合った。殊に背の低い猪首の若者は、露骨にその憎悪を示して憚らなかった。彼の投げ捨てる巌石は、しばしば偶然とは解釈し難いほど、あの容貌の醜い若者の足もとに近く転げ落ちた。