Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

すさのおのみこと

素戔嗚尊

芥川 竜之介

Lee 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 42.917 caracteres · 86 pantallas

Aozora Bunko

三十

三十

老婆を投げ倒した素戔嗚は、涙に濡れた顔をしかめたまま、虎のように身を起した。彼の心はその瞬間、嫉妬と憤怒と屈辱との煮え返っている坩堝であった。彼は眼前に犬と戯れている、十六人の女たちを見るが早いか、頭椎の太刀を引き抜きながら、この女たちの群った中へ、我を忘れて突進した。

犬は咄嗟に身を飜して、危く彼の太刀を避けた。と同時に女たちは、哮り立った彼を引き止むべく、右からも左からもからみついた。が、彼はその腕を振り離して、切先下りにもう一度狂いまわる犬を刺そうとした。

しかし大刀は犬の代りに、彼の武器を奪おうとした、大気都姫の胸を刺した。彼女は苦痛の声を洩らして、のけざまに床の上へ倒れた。それを見た女たちは、皆悲鳴を挙げながら、糅然と四方へ逃げのいた。燈台の倒れる音、けたたましく犬の吠える声、それから盤だの瓶だのが粉微塵に砕ける音、――今まで笑い声に満ちていた洞穴の中も、一しきりはまるで嵐のような、混乱の底に投げこまれてしまった。

彼は彼自身の眼を疑うように、一刹那は茫然と佇んでいた。が、たちまち大刀を捨てて、両手に頭を抑えたと思うと、息苦しそうな呻き声を発して、弦を離れた矢よりも早く、洞穴の外へ走り出した。