Clásicos japoneses con furigana
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すさのおのみこと
素戔嗚尊
Lee 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 42.917 caracteres · 86 pantallas
彼はさすがに胆を消して、うっかりあぐらを組んだまま、半ば引きちぎられた簾の外へ、思わず狼狽の視線を飛ばせた。するとそこには素戔嗚が、油火の光を全身に浴びて、顔中に怒りを漲らせながら、小山のごとく戸口を塞いでいた。若者はその姿を見るや否や、死人のような色になって、しばらくただ狭い家の中をきょろきょろ見廻すよりほかはなかった。素戔嗚は荒々しく若者の前へ歩み寄ると、じっと彼の顔を睨み据えて、
「おい、貴様は確かにあの娘へ、おれの勾玉を渡したと云ったな。」と忌々しそうな声をかけた。
若者は答えなかった。
「それがこの男の頸に懸っているのは一体どうした始末なのだ?」
素戔嗚はあの美貌の若者へ、燃えるような瞳を移した。が、彼はやはり藁の中に、気を失ったのか、仮死か、眼を閉じたまま倒れていた。
「渡したと云うのは嘘か?」
「いえ、嘘じゃありません。ほんとうです。ほんとうです。」
牛飼いの若者は、始めて必死の声を出した。
「ほんとうですが、――ですが、実はあの琅の代りに、珊瑚の――その管玉を……」
「どうしてまたそんな真似をしたのだ?」
素戔嗚の声は雷のごとく、度を失った若者の心を一言毎に打ち砕いた。