Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lee 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 183.656 caracteres · 363 pantallas
寺は安中みちを東に切れた所で、ここら一面の桑畑が寺内まで余ほど侵入しているらしく見えた。しかし、由緒ある古刹であることは、立派な本堂と広大な墓地とで容易に証明されていた。この寺は佐々木盛綱と大野九郎兵衛との墓を所有しているので名高い。佐々木は建久のむかし此の磯部に城を構えて、今も停車場の南に城山の古蹟を残している位であるから、苔の蒼い墓石は五輪塔のような形式でほとんど完全に保存されている。これに列んで其の妻の墓もある。その傍には明治時代に新しく作られたという大きい石碑もある。
しかし私に取っては、大野九郎兵衛の墓の方が注意を惹いた。墓は大きい台石の上に高さ五尺ほどの楕円形の石を据えてあって、石の表には慈望遊謙墓、右に寛延○年と彫ってあるが、磨滅しているので何年かよく読めない。墓のありかは本堂の横手で、大きい杉の古木をうしろにして、南にむかって立っている。その傍にはまた高い桜の木が聳えていて、枝はあたかも墓の上を掩うように大きく差し出ている。周囲にはたくさんの古い墓がある。杉の立木は昼を暗くする程に繁っている。「仮名手本忠臣蔵」の作者竹田出雲に斧九太夫という名を与えられて以来、ほとんど人非人のモデルであるように、あまねく世間に伝えられている大野九郎兵衛という一個の元禄武士は、ここを永久の住み家と定めている