Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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はごろもものがたり

羽衣物語

小川 未明

Lee 羽衣物語 (はごろもものがたり) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonés con furigana. JLPT N3. Toca una palabra para ver el significado.

N3 · intermedio · kanji y kana modernos · 6149 caracteres · 12 pantallas

Aozora Bunko

一

一

昔は、いまよりももっと、松の緑が青く、砂の色も白く、日本の景色は、美しかったのでありましょう。

ちょうど、いまから二千年ばかり前のことでありました。三保の松原の近くに、一人の若い舟乗りがすんでいました。ある朝のこと、東の空がやっとあかくなりはじめたころ、いつものごとく舟を出そうと、海岸をさして、家を出かけたのであります。

まだ、おちこちの森のすがたは、ぼんやりとして、あたり一面の畑には、白いもやがかかっていたけれど、早起きのうぐいすや、やまばとは、もうどこかでほがらかに鳴いていました。そうして、あちらの空には、富士山が、神々しく、くっきりと浮かびあがって見えました。

これを仰ぐと、若者は、つつましげにえりを正して、手を合わせながら、

「どうぞ、今日も私のからだに、けが、さいなんなく、おかげで、しあわせにくらせますように。」と、いいました。

こう祈りをささげると、なんとなく心がすがすがしく、気もちもはればれとして、しぜん、ふみ出す足に力が入りました。

このとき、どこからともなく、ぷんと松のにおいがしました。いつのまにか、松原へさしかかっていたのであります。