Clásicos japoneses con furigana
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えんしょ
艶書
山本 周五郎
Lee 艶書 (えんしょ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 25.027 caracteres · 50 pantallas
――これはいけない、怒らせてしまった。
出三郎は舌打ちをした。梅林のかなたへ小走りに去ってゆく七重の、鮮やかに白い足袋の色が、あたかも彼女の怒りを代弁するかのように思われる。彼はもういちど舌打ちをし、持っている艶書を袂へ突っ込んで、がっかりしながら家へ入った。
「お互いの仲だからいいと思ったんだが」と彼は呟やいた、「幼なじみだから笑って見てくれると思ったんだが、――やっぱり年ごろの娘に恋文を読めなどというのは、悪かったかもしれない」
ばかなことをした、と彼は自分を罵しった。ことによるとこれで七重との長い友情もだめになるかもしれない。おそらくもう七重は自分とは会わなくなるだろう。彼はそんなふうにも思った。
しかし実際にはそんなことはなかった。
四五日経ったある日、庭で見かけたので呼んでみた。だめだろうと思いながら、鳩の声をまねて呼ぶと、七重はすぐに聞きつけて振り返り、微笑しながらこっちへ近づいて来た。出三郎はほっとして、おじぎをしながらあやまった。
「いいんですのよ」と七重はやさしく云った、「そんなに怒りはしませんわ、でも、これからあんなことなさらないでね、他人の文を読ませるなんて、あなたにも似合わないことですわ」