Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
えんしょ
艶書
山本 周五郎
Lee 艶書 (えんしょ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 25.027 caracteres · 50 pantallas
九
おれが城代に直ってからだがね、そのときは頼むよ」
出三郎にはちょっとその意味がわからなかった。
「忘れちゃあ困るな、郡奉行だよ」半兵衛はこう云って、それから少し声をひそめた、「もしあの艶書のぬしが待っているんならそう云うんだね、もう部屋住みではなくなる、まもなく結婚することができるってさ」
そして半兵衛はくすくす笑った。
――つまらないことをいつまでも覚えている人だ。
出三郎はこう思いながら家へ帰った。
だがそれは「つまらないこと」ではなかった。家へ帰った彼が自分の住居のほうへゆこうとすると、母が呼びとめて一通の手紙を渡した。つい今しがたまで七重が来ていて、帰りしなにその手紙を母に託したのだという。
「いまどうしているんですか」出三郎は手紙を漫然と眺めながらきいた。
「御病気がすっかりなおって、医者はもう大丈夫だと云ったそうで、はじめて今日外へ出てみたのですってよ」
「病気がって」出三郎は不審そうに母を見た、「あの人は病気してたんですか」
九
「あら、あなた御存じなかったの」
「知りませんとも」
「笠井家を離縁されて戻ってから、ずっと寝ついていらしったんですよ」