Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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はなもかたなも

花も刀も

山本 周五郎

Lee 花も刀も (はなもかたなも) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 89.364 caracteres · 178 pantallas

Aozora Bunko

ほんの一と口の酒を飲むと、深喜は「では馳走になるよ」といって、食事を始めた。お豊は給仕をしたが「あたしは、もう少し飲むわ」と、自分で自分の盃に酒を注いだ。

「約束が違うぞ」と、深喜が云った。

「ほんの少しよ」

「その病気には、酒はいけないんだろう」

「あたしは大丈夫」と、お豊は微笑した、「ほんとのこと云うと、あたしずっと朝昼晩と飲んでるの、朝とお午は一本ずつだけれど、晩には二本飲んでるのよ、そのほうが、躯の調子もいいんだもの」

「自分でそう思うだけだ、病気を持っていて酒がいいなんていう理窟があるか」

「平手さんにはわからないのよ」

「そんな理窟は誰にだってわかるものか」

「そうよ、わかりやしないわ」

お豊はいきなり汁椀の蓋を取り、しずくを払うと、それでたて続けに二杯呷った。深喜は箸と茶椀を膳の上に置いた。

「そういうことをするんならおれは帰る」

「平手さん」

深喜は立ちあがった。

お豊は「いいわ」と云った。どうせ、あたしなんか見たくもないんでしょ、いいわよ。お豊はそう云いながら、角樽を取って、その口から冷のまま飲もうとした。深喜は近よってその手を捉え、角樽を奪って脇へ置いた。