Clásicos japoneses con furigana
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ずいひつ しほんたいへいき
随筆 私本太平記
吉川 英治
Lee 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 56.947 caracteres · 114 pantallas
以来、私は私なりに、書庫の鼠となって、その裏ヅケとなるべき傍証漁りに熱中した。
いま詳しくは述べえないが、久保氏の手がけた伊賀の上島家文書中の能面覚エやら観世系図によると、観世流の始祖、観世清次の母は、楠木正成のごく近親な者で、姉か妹かは不明だがとにかく――河内国玉櫛ノ庄橘入道正遠ノ女――と明記があり、それは信憑に足るものと、発表されているのである。久保氏のこの新提説は、まだ学界として取り上げられるまでには至っていないが、氏の示唆による私の私なりな詮索でも、そのいわれある点や、根拠といえるところがどうやらつかめて来た気がする。従来、一族みなコチコチな人とのみ観られていた大家族楠木氏のうちでも、性情さまざまな人が、もちろんいたはずといってよい。しかもその一人が、日本能楽の始祖の母だったという一構想に立ちうれば、私の文学的想像の野も、千早、金剛、湊川だけのものではなくなって来る。
「菊水帖」の予告と共に、たちまちいろんなお手紙を頂戴した。久保氏の御書面などは天来のものだが、どうにも御返事に困るのも多い。要するに、歴史の山河は、私たちの汲む水道の源流みたいなものだ。