Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ずいひつ しほんたいへいき

随筆 私本太平記

吉川 英治

Lee 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 56.947 caracteres · 114 pantallas

Aozora Bunko

さきに勾当ノ内侍のことを書いたがあらかた私の創作である。義貞が瘧を病んだのは事実だが、従来、内侍を賜う、という話は否定説の方が多い。「尊卑分脈」に一条行房の妹とあるが、明確ではないのである。けれど義貞にかぎらず、武将の閨房にも、当然いろんな秘事はあったはずと観ていいと思う。概して太平記という書は、平家物語とちがって、まったく女性を意としていない。わずかに後宮の廉子が存在の意味をもっているくらいなものである。それほど男の権力と殺伐が一切をうごかしていた時代、そしてまた、或る一つの「悪の時代」ともよべる世代だった。

尊氏が九州から捲き返して「湊川帖」の湊川決戦となるまえに、正成の心境と立場とを、私は私なりに書きこんでおきたいとかねておもっていた。その一端が“豆と豆がら”の小ミダシで書いた正成諫奏であるが、あれもわずかな史拠を敷衍したのでつまりは私の正成観が主なのである。

先日も佐藤春夫氏とさる場所で正成のはなしが出た。そのとき佐藤氏は「正成が出世欲だけで立ったとは決していえないし、時代にとまどったものでもない。あの信念と生きぬき方は、むしろよほど賢い人だったろうとおもわれる」