Clásicos japoneses con furigana
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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Lee 雑居家族 (ざっきょかぞく) de 壺井 栄 (つぼいさかえ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 140.106 caracteres · 283 pantallas
母親似で人一倍こわい飯のすきな二三子は、自分の好みに歩調をあわさせて、このところずっと兵六さんはかたい飯ばかり食べさせられていた。そんなことも思い出されて、ひとりぐらしは兵六さんにとって思いがけなく楽しくなりそうな気がする。こうなると不思議にも、眠っていた彼の労働意欲までがむくむくと首をもたげてきた。おせいや二三子に負けてなるかと思うのだ。つまり、金をもうけて一あわふかせたいのだ。
――何をやろうか。
まっさきに浮んだのは宝くじだった。一等があたれば一やく長者になれる。しかし彼はそれを堅く拒否するように首をふった。これまでにも何度かおせいや二三子に内しょで買った宝くじのむなしい夢が彼の心をしめつけた。
――では、何をやろうか。
彼はそっと腹巻に手をやる。そこにはいつかの夏樹の貯金が、まだ半分がとこ残っている。彼の顔はみるみる曇る。
あの日彼は、その金を手つけずに返すつもりで駅前の坂道をのぼっていったのだった。しかし黒い潮のように押しよせてくるひけ時の混雑と傷ついた足の痛みは、彼の決心をにぶらし、
――あしたのことにしよう――
と、ひとりごとをつぶやいてしまった。