Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

Lisez ちくしょう谷 (ちくしょうだに) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 788 caractères · 138 écrans

Aozora Bunko

「飲むものが欲しい」と隼人は云った、「それから、木戸へ戻ろう」

「それは無理です」と脇のほうで誰かが云った、「頭をひどく打っておられるし、熱もまだ高いようです、いま動かれてはお躯に悪うございましょう」

岡村七郎兵衛が「薬湯です」と云った。隼人は注意ぶかく半身を起こして、湯呑の中のものを啜った。うす甘く辛味があって、いやな匂いが鼻をついた。頭の中にもう一つ痛む頭があるような感じがし、骨という骨がずきずきした。どうやら動けそうもないな、隼人はそう思って、またゆっくりと横になった。

「あの女はどうした、岡村」と隼人は頭にひびかないように、かげんをしながら訊いた、「あの女はどうして打たれていたんだ」

岡村ではなく、べつの声が答えた。

「男の知れぬ子をみごもったのです」とその声が云った、「ぶろうという者の娘で、名はいち、年は二十になります、生れつき知恵のおそいうえに唖者ですが、相手が誰かということはわかっていて、どうしてもそれを告げようとしないのです」

ここは流人村であり、昔から住民は厳しい掟にしばられていた。その一に「密通」の禁があって、それを犯した者は死ぬまでの笞刑に処された。