Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

Lisez ちくしょう谷 (ちくしょうだに) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 788 caractères · 138 écrans

Aozora Bunko

と叫びながら、自分の躯をぴったりと崖の岩肌へ貼りつけた。殆んど同時に、上から落ちて来た岩――それは一と抱えもありそうにみえた――が、彼の躯をかすめて道の端を叩き、岩角を打ち砕いて、断崖の下へ消えていった。断崖の下のほうで、岩の砕ける音がこだまして聞え、その音が聞えなくなるまで、隼人は崖に身を押しつけたまま動かなかった。

「松木――」とやがて隼人が呼びかけた、「けがはないか、大丈夫か」

「私は大丈夫です」

「いいと云うまでそこを動くな」

隼人は顔だけそろそろと振向けた。十二三尺うしろで、松木も崖へぴったりとかじりつき、恐怖の眼でこっちを見ていた。

――権八に限らず、村の住民はみんな木戸の者を憎んでいる。

――囚人が牢守を憎むのは当然のことだ。

いつか岡村七郎兵衛の云った言葉が、隼人の耳にはっきりとよみがえってきた。

「いや」隼人は喉で云いながら首を振った、「そうとは限らない、そうとは限らない」

彼は極めて慎重に、仰向いて崖の上を見ながら、崖に貼りついたままで、静かに左へと、横向きに躯を移していった。朝田さん大丈夫ですか、と松木が叫んだ。大丈夫だ、おまえはまだ動くな、と隼人が叫び返した――三十尺ほど移動すると次の曲り角になり、そこから振返ると、いまの道を見渡すことができる。