Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

トシオのみたもの

トシオの見たもの

岡本 かの子

Lisez トシオの見たもの (トシオのみたもの) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 531 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

一

一

トシオは、大そう賢く生れ付いた男の子でした。それゆえ、まだやっと、今年十一歳になったばかりですのに、もうこの世のなかのいろいろな方面の、様々なことを知って居ました。書物などで読んだことも、一々はっきり、頭に覚え込むという風でした。

しかし、あまり、いろいろ知り過ぎたせいで、このごろ敏夫は却って、沢山な疑いを持つ様になりました。先ず、どうして世の中には、こんなに無駄が多かったり、不平の種が沢山あるのだろうと、云うことが、敏夫のこの頃の不思議なのでした。

たとえば人間達が、折かく元気よく暮らして居るこの世の中に、いつの間にか流行病のバチルスが、そっと片隅から湧き出したり、でこぼこな黒い土のなかから美しい赤い花が、艶やかに咲き出たり、正しい善良な人が貧しい暮らしをして居るかと思えば、富んで遊んで暮らす人の居る世の中でもある。それから人の死ぬことや、喧嘩仕合ったりすることも……。

「ああ分らない、僕にはどうしても分らない」トシオは斯うひとり言して、頭を振ってばかり居る様になりました。

トシオの頭はこんな具合で、すっかり暗く閉じて仕舞いました。もう本を見るのも嫌なら、お友達を訪問しても、つまらないし、仕方がなしにふらふらと、一人家を出て、歩きまわりました。