Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

Lisez 不在地主 (ふざいじぬし) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 990 caractères · 141 écrans

Aozora Bunko

歩いて行くのに従って、蛙が鳴きやみ、逆に後の方から順々に鳴き出した。

「どうした?」

「……………」

「ええ?」

「……………」

だまっている。ひょいと見ると、闇の中で白い横顔がうつむいていた。

「川の方さでも行ぐか?」

「……………」

川の方へ曲がると、矢張りついてきた。悪戯をして、一寸つッついても、何時でも身体をはずませて、クックッと笑いこけるのに、顎をひいて、身体をコッちりさせている。女に黙られると、もうかなわなかった。――途中の家々では窓をあけて、「蚊いぶし」をやっていた。腰巻一つの女が、茣蓙の上へ、ジカにゴロゴロしているのが見える。――暑苦しい晩だった。

河堤に出る雑草を分けて行くと、細身の葉が痛く顔に当った。何処かで、ヒソヒソ声がする。――そんな組が二つも、三つもあった。二番草を終って、ここしばらく暇だった。

堤に出ると、すぐ足の下の方で、話し合っている大きな声と一緒に、ザブザブと馬を洗っているらしい音がした。踏みの悪い砂堤に足を落し、落し出鼻を廻わると、河原で焚火をしていた。――夜釣りの魚を集めているらしく、時々燃えざしを川の真中へ投げた。パチパチと火の粉を散らしながら、赤い弧を闇にくっきり引いて、河面へ落ちると、ジュンと音をたてて消えた。