Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Lisez 光は影を (ひかりはかげを) de 岸田 国士 (きしだくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 138 262 caractères · 276 écrans

Aozora Bunko

「なに? 感情的になつてるのは向うじやないか。わしは、たゞ、道義的に批判しているだけだ」

「道義的ですか? それも変じやないですか。むしろ、あいつの子供つぽい不器用さを、笑つてすませばいゝんじやないですか」

「バカ、お前までなにを言うか。大体、家の秩序というもんが、まるで乱れきつとる。そもそも、家長の権限なるものを、わしは最少限度にしか用いておらん。その弊害を重々、知つとるからだ。しかし、長幼の順なくして、共同社会というものが保つて行けるか」

「まあ、よしましよう、そういう議論は」

「議論なんぞしとりやせん。教えてやつとるんだ」

「あ、そうですか。もう、わかりました」

家族の手前、彼もあつさり切り上げるつもりで、不機嫌な父の鉾先を封じようとした。しかし、父は、まだ、ひとりでぶつぶつ言つていた。

弟の事件から引きつゞいた家の中の気まずい空気が、家族一人一人の印象として、数日の間、彼の心の中に、一種言いようのないさびしい影をおとしていた。そのうちには、例の、芸者姿の美佐を、これが実の妹かと思つて見た時の印象もむろん含まれていた。しかし、宿命的とも思えるこのおりのような感情は、それから幾日もたゝぬある日の朝、工場でいつものように百瀬しのぶの顔をみ、その百瀬しのぶから、小萩の新しい消息をきかされた時、一瞬にして、霧のよう