Classiques japonais avec furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lisez 光は影を (ひかりはかげを) de 岸田 国士 (きしだくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 138 262 caractères · 276 écrans
二つの未来図
一
たゞ、小萩が、いつの間にか、それにかぶれていて、不似合な知識をふりまわすのが、なんとしてもおかしかつた。
二人は、それから、小諸の町へ出て、信州ソバを食おうということになつた。
公園の昔の城門をそのまゝの、懐古園と書いた扁額を仰ぎながら、京野等志は、ちよつと照れながら、嘯いた――
「ねえ小萩さん、こうして、こんなところを並んで歩いてると、まるで、新婚旅行だね」
彼女の方は、却つて、すました顔で、
「それにちがいないから、それでいゝじやないの」
「それでいゝのか、なるほど。わるいといつてみてもはじまるまい」
ひとり言のように、京野等志は、言つた。
宿命のような重荷が、もう、彼の肩にのしかゝつて来ているのを、ぼんやりとではあるが、感じていたのである。
二つの未来図
一
翌日は、朝から雪が降りだした。山国特有の密度の濃い粉雪が、みるみるうちにあたりの風景を一変させた。
「今日は外へは出られないな、これじや……」
と、朝の膳に向いながら、京野等志は、まだ鏡台をはなれない小萩の方へ声をかけた。
「ちようどいゝわ、出られなくなつて……。そんなにお急ぎになるの?」
鏡をのぞきこむようなかたちで、小萩は、ちらと彼の方を見で笑つた。