Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はんのすけしゅうげん

半之助祝言

山本 周五郎

Lisez 半之助祝言 (はんのすけしゅうげん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 997 caractères · 44 écrans

Aozora Bunko

一

一

折岩半之助が江戸から着任した。

その日、立原平助が桃の咲きはじめたのを見た。次席家老の前田甚内の家の桃である。平助はそれについて次のような感想を述べた。

「南枝一輪、桃などもそう云っていいものかどうか、ともかく南面の枝に三つ四つ、ふっくらと咲いていたよ、こんなふうにさ」

彼は両手でそんなふうな恰好をしてみせた。

「――私は思わずどきりとしたね」

そこで葵太市が訊いた。

「桃が咲いてなぜどきりとするんだ」

「一種の前兆、といったものかどうか、なにかしら起る、これは単に桃が咲いたというだけのものじゃない、吉か凶かわからないけれどもとにかくなにか起る、こうしてはいられない、といった感じだねえ」

葵太市はそうかねえと云った。ほかの者は聞いてもいなかった。

着任した折岩半之助を見て、重役の人々はその若いのに驚いた。

この異動には相当むずかしい重要な使命がある。経験に富み、老巧にして円滑、才気縦横、大胆不敵といった人材でなければならない。それには半之助はいかにも若すぎた、二十六だというが二十二三にしかみえない。背丈は五尺六七寸、まる顔でおちょぼ口で、梟のような眼をしている。