Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

Lisez 吸血鬼 (きゅうけつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 554 caractères · 381 écrans

Aozora Bunko

通路の所々に開いている、非常口の扉の奥を覗いて見ると、薄暗い、舞台裏の長廊下を、係員などが、物の怪の様に、さまよっているのが、不気味に眺められる。

若し兇悪な犯罪者があって、この迷路の中へ逃げ込んだなら、一月でも二月でも、安全に隠れていることが出来るかも知れない。

張りボテの山、本物の森林、菊人形の背景の建物、実に無限の隠れ場所がある上に、数限りない等身大の生人形、それに一つヒョイと化けて、薄暗い菊の茂みに、何食わぬ顔をして立っていることも出来るのだ。

それはさておき、今、文代と例の怪人物とは、両側に満開の桜の山をしつらえた、義経千本桜の生人形の場面を通り過ていた。

「生人形という奴は、何だか本当に生きている様で、薄気味の悪いものですね」

男はマスクの下から、呑気に話しかける。

「アノ明智さんは、一体どこにいらっしゃるのでしょうか」

文代は薄々明智がいるなんて、嘘っ八だと感づいていたけれど、さも気掛りらしく、尋ねて見る。

「もうじきですよ。もうじきですよ」

男はそう答えながらも、なぜかソワソワし始めた。そして、しきりと外套の右のポケットを気にしている様子だ。