Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lisez 吸血鬼 (きゅうけつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 554 caractères · 381 écrans
人殺し、短刀、血のり、警察、裁判所、牢獄、絞首台、恋人、愛児、畑柳家、財産、唇のない男、…………というような観念が、あるいは恐怖の、あるいは愛着の、目まぐるしき絵となって、倭文子の頭の中を、グルグルグルグル駈け廻った。
その癖、とりとめたことは、何一つ考えられなかった。この先、我身がどうなることやら、まるで見当さえつかなかった。
彼女は無我夢中で、恋人三谷の指図に従った。可愛い、たよりない茂少年を抱きしめて、一刻も手離すまいとする心遣いだけで精一杯だった。
真暗な、よみじの様な、井戸の底の数時間、そこを出たかと思うと、我家の廊下を、まるで泥棒でもある様に、忍び忍んで、物もあろうに、たった今まで、我手で殺した斎藤老人の、死骸が横たわっていた棺の中へ、親子で身をひそめなければならないとは。
頑丈な棺ではあったけれど、三谷が釘うつ時に、外からは見えぬ様に、丸めた紙をくさびにして、細い隙間を作っておいてくれたので、空気の欠乏を気遣うことはなかったが、それにしても、狭い箱の中で、音も立てず、身動きも出来ず、出棺までの長い時間、じっとしていなければならぬとは、アア既に、彼女の罪を償う為に、地獄の責苦が始まったのではなかろうか。