Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lisez 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 349 705 caractères · 678 écrans
わたしの方では、生きたお父さんの脛をかじるお前さんの方が、よっぽど怖い」
事実、死んだものや、化けたものは、そんなに怖いはずはないのです。
今し、棺の蓋をせっかく細目にあけて、そうして死肉の主が、お愛想に、にっこりと笑いかけたのだから、ほんとうに、こちらも調子を合わせてやればいいのに……「おやおや、おばさんかね、久しぶりだったねえ。あれから、どうしたんだえ。いったい、お前は白骨の無名沼の中へ沈められていたはずじゃないか。そんならそうで、無事におとなしく、あの沼に沈着していればいいのに、なんだってこんなところまで出て来て、因果とまたあの火にまで焼かれ損なったのだね。水にも嫌われ、火にもイヤがられ、ほんとに、お前さんというおばさんも、因果の尽きないおばさんだねえ」とでも言ってやれば、せっかく笑いかけた棺の中の死肉の主も、また引込みがついたかも知れないのに……
それに対して、こんな無愛想であるのに、別の因縁になっている棺の上の一重ねの着物だけには、どうやら執着があるらしいのが浅ましいではないか。
三十八
こうして、音無の怪物は、死肉には爪牙を触るることなく、そのままずっと進んで行きました。