Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lisez 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 349 705 caractères · 678 écrans
の当人とは違います。
その者は、三度笠をかぶって、風合羽を着た旅の人。
いつのまにやって来たか、この寂寞と荒涼たる焼跡の中の、僅かな安全地帯に立入って、柳の木の蔭に立休らい、いささか芝居がかった気取り方で、身体をゆすぶって、鼠幕のあたりを、頭でのの字を書いて見上げたところ、誰か見ている人があれば、そのキッかけに、「音羽屋!」とか「立花屋!」とか言ってみたいような、御当人もまた、それを言ってもらいたいような気取り方だが、あいにく誰もいない。
人の見ていると見ていないに拘らず、こんな見得をしたがる男で、一応見得を切っておいて、それから左の手を懐中へ入れて、ふところから胴巻のようなものを引き出した形までが、いちいち芝居がかりで、引き出してから押しいただき、「有難え、かたじけねえ」と来るところらしいが、そんなセリフは言わず、胴巻のようなものの中からあやなして、何を取り出したかと見れば、竹の皮包は少々色消しです。
でも、包みの中を開いて見るまでは、舞台に穴を明けるほどの色消しにもならなかったが、やっぱり片手をあやなして、竹の皮包をいいあんばいに開いて、中身をパックリと自分の頤の上へもって行ったところを見ると、色男も食い気に廻って、さっぱり栄えない。