Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

Lisez 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 112 caractères · 362 écrans

Aozora Bunko

夜半に夢が破れた時には、その破れ目の傷口から、あらゆる過去が流れ出すのです。

与八に抱かれて行ったその子供が、雲に乗って天上へ舞いのぼると、その雲が火になって燃え出すのは、堪え難い執念です。

今までの過去という過去が残りなく、そこへ並べられる最後に、その中へ現われるのは、いつも我が子の郁太郎の面影でありました。我が子の面影のみは払おうとして払うことができません。消そうとしても消すことができません。まさに親の因果が子に報うべき現世の地獄を、眼のあたりに見せらるることが苦しくないではない。幾度か、故郷へ帰って、その見えぬ眼に、わが子を抱いてのち死にたいと思い立ったけれども、今となっては、もうそんな心持はないらしい。

四隣、人定まった時に、過去のことと人とを思い出すことが彼にとっては、ひたひたと四方から鉄壁で押えつけられるように苦しい。枕許の水差を引寄せて、水をグッと一口呑んだ時に、つい隣の部屋で、思いがけなく短笛の音が起りました。

一口飲んだ水さえが、火となって胸の中で燃えるかと思われる時に、短笛の音は、一味の涼風となって胸に透るのです。

この真夜中に、隣の部屋で尺八を吹き出したものがあります。