Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

てんしゅかくのおと

天主閣の音

国枝 史郎

Lisez 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 941 caractères · 79 écrans

Aozora Bunko

三

所謂無礼講の乱痴気騒ぎが、夜明け近くまで行われたが、宴が撤せられた時、宗春と半太夫とは寝室へ隠れた。

そうして座頭は其代りとして、莫大な典物を頂戴した。

此夜は月も星も無く、宵から嵐が吹いていた。

で、天主閣の頂上では、例の唸り声が聞えていた。それは人間の呻き声にも聞え、鞭を振るような音にも聞えた。とまれ不穏の音であった。禍を想わせる声であった。

其夜以来半太夫は、城の大奥から出ないことになった。お半の方と名を改め、愛妾として囲われることになった。

宗春は断じて暗君では無かった。英雄的の名君で、支那の皇帝に譬えたなら、玄宗皇帝とよく似ていた。お半の方を得て以来は、両者は一層酷似した。玄宗皇帝が楊貴妃を得て、すっかり政事に興味を失い、日夜歓楽に耽ったように、宗春も愛妾お半の方を得て、すっかり藩政に飽きて了った。そうして日夜昏冥し、陶酔的酒色に浸るようになった。

三

聖燭節から節分になり、初午から針供養、そうして槃会の季節となった。仏教の盛んな名古屋の城下は、読経の声で充たされた。

梅が盛りを過ごすようになり、彼岸桜が笑をこぼし、艶々しい椿が血を滴らせ、壺菫が郊外で咲くようになった。