Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
てんぐいわのさつじんま
天狗岩の殺人魔
山本 周五郎
Lisez 天狗岩の殺人魔 (てんぐいわのさつじんま) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 872 caractères · 18 écrans
間に合った」
裸馬を煽って駈けつけた祐吉を見ると、
平野氏は馬車の速度をゆるめながら、
「どうしたんだ」
「京、京ちゃんは? 一緒に来たんじゃアないんですか」
「一緒に来たさ」
「いないじゃアないですか」
馬車には京太郎の上衣がある許りだった。
「餌にする柳の虫を獲るので、向うの土橋のところで降りたよ、もう後から来るだろう」
「――伯父さんも降りて下さい」
「なに、なんだって?」
「伯父さんも降りて下さいと云ってるんです。一生のお願いです。遺産も何も要りませんから今日一度だけ僕のお願いを肯いて下さい」
「一体それはどう云う訳だ?」
「訳は後で話します、早く」
祐吉の真剣な態度に、平野氏は逆う気も失せて馬車を降りた。――同時に祐吉は馬車へ飛移り、釣棹をへし折って席へ突立てて、それへ京太郎の脱いで行った上衣と帽子を冠せた……些っと見ると人が乗っているように見える。
「何をするんだ祐吉」
「いま面白いものを御覧に入れますよ、――さ少し後から跟いて行ってみましょう」
馬車を先へ進ませ、祐吉は伯父と共に裸馬を曳きながら、五六間後れて歩きだした。――左手は五メートル程の崖、右は百呎にあまる断崖で、下は深淵が魔のように白波を噛んでいる。