Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しっちょうき

失蝶記

山本 周五郎

Lisez 失蝶記 (しっちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 072 caractères · 44 écrans

Aozora Bunko

どうしても他に手段がないとしても、いまはまだそのときではない、と私はきびしく云いなだめました。――そんなことのあったあとで、あの日は滝に打たれながら、いつものように気分がおちつかず、杉永が思い止ってくれたかどうか、杉永が思い止っても同志の者たちはどうか、承服しない者があって無謀なまねをやりはしないか、などと繰り返し考えていました。

滝をあがったのはいつもより早かったでしょう、着物を着、袴をはき、両刀を差すと、急に胸騒ぎがするように感じました。たぶん同じ問題を考え続けていたため、気持が不吉なことのほうへ傾いたのでしょう。自分では否定しながら、なにか事が起こったような、不安な思いにかられて、ついいそぎ足になっていました。すると、ちょうど明神の下あたりへ来たとき、うしろへなにかが襲いかかるのを感じました。人の出て来る筈はないので、それはわかっていながら、そんな気分でいたからでしょう、われ知らず刀を抜いて、抜き打ちにうしろをひっ払い、大きく三歩とんで振返りました。

刀に軽い手ごたえがあったので、刀を構えながら振返ると、女持ちの扇が二つに切られて、ひらっと地面に落ちるところでした。