Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やまつばき

山椿

山本 周五郎

Lisez 山椿 (やまつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 911 caractères · 32 écrans

Aozora Bunko

――二年まえの四月、そんな季節には稀な火事で、武家町の一画まで焼けたことがある、そのとき須藤家の遠縁の者が類焼して、半年ばかり彼女の家へ寄宿していた。榎本良三郎といってそのとき二十二になり、納戸方に勤めてまだ独身だった。彼が怠け者で身持がよくないという噂は、まえからきぬは聞いていた、だが家へ来て住むようになると間もなく、そんな噂は信じられなくなった。きぬの眼には彼が孤独で気の弱い人間にしかみえない。誰にも相手にされず、友達もない。寂しげな、当惑したような眼で、よく庭に立って雲を見ている、唇にはいつも諦めたような微笑がうかんでいる。きぬは激しい同情を唆られた。そこから二人のちかづきが始まった。親しくなるに従ってきぬの確信は強くなった。良三郎は優れた才能を持っている、それを周囲が認めない許りでなく、寧ろそのために、嫉妬の余り共同で彼を陥れるのだ。だが彼は少しも恨んではいなかった。

こういう時代なんです、私は誰をも憎みはしません。罪はこういう時代にあるんですから、彼等は好きなようにやるがいいんです。

俗悪な世間を憐れむように、よくこう云って微笑し、当惑げな寂しい眼で、それとなく空を眺めた。