Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

われにそむく

我に叛く

宮本 百合子

Lisez 我に叛く (われにそむく) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 29 414 caractères · 59 écrans

Aozora Bunko

ゆき子は、その場合、特別な懐しさを感じながら、手にとって、表記の真木潤一という宛名をながめた。それから、また改めて裏を返した。文句は肉筆で書かれているのみならず、「是非とも」の四字には、特に朱で二重圏点さえ打ってある。

ゆき子は暫く考えた。

「ただ、留守です、ぎりでいいかしらん……」

彼女の頭には、閃くように、電報を打とうという考がうかんだ。

「若し、帰った方がいいと思えば、便宜の汽車を見出して間に合うように戻るだろう。若し、必要がなかったら――勿論、予定の十日をいて来るだろう……」が、後の場合は、彼女に十が一も無さそうに思われた。

ゆき子は、やがて葉書を持って母の居間へ行った。彼女は、裁つもりものをしている母の傍で、相談をしいしい電文を作ろうと思ったのである。

六畳の、平床に花鳥の淡彩をかけた部屋の中は、静に落付いている。母は、懸け鏡に綺麗な耳の辺から髷の辺を照返しながら、ひっそりと地味な絹物をいじっていた。ゆき子は、入って行きながら、

「おかあさま……」

と呼んだ。

母は、やや沈んだ、併しすっかり平静に戻った顔を振向けた。

「なあに?」

「あのね、今、こんなものが来たのよ」