Classiques japonais avec furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lisez 探偵夜話 (たんていやわ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 140 363 caractères · 277 écrans
」
「ただ、水沢さんが可愛いからか。」
「察してください。」
「なんでもない人に、それほど実を尽くすのか。」
「それがあたしの性分ですから。それがために東京にもいられなくなって、上総三界までうろ付いているんですから。」
僕はなんだかお島さんが可哀そうにもなって来たので、今夜のことは誰にも言うまいと、とうとう約束してしまった。
「それにしても水沢さんはどうしたろう。」
「どうしたでしょうか。」と、お島さんは溜め息をついた。「海へ飛び込んで逃げたんじゃありませんかしら。」
「そうかも知れない。それにしても、あのステッキはどうしたろう。」
「あなた、見ませんでしたか。巡査があのステッキの折れたのを持っていたのを……。船の中に落ちていたんですって……。何でもところどころに血が付いていたそうですよ。」
「そうすると、芸妓の方では櫂を持って、二人で叩き合ったんだね。」
「そうかも知れませんねえ。」
二人は宿へ帰った。僕は素知らぬ顔をして自分の座敷へはいって、寝床のなかへもぐり込んだが、今夜は眼が冴えて寝つかれなかった。水沢はなぜあの芸妓を殺したのであろう。他愛もない痴話喧嘩の果てに、思いもつかない殺人罪を犯したので、かれもおどろいて入水したのではあるまいか。