Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 320 caractères · 398 écrans
「御台所口より戻れ」
と、城士が通路を指さし、大勢の足は自然に、結いまわされた青竹垣に誘われて、御台所の側へ流れ、お厩口へあふれ出して行った。
するとそこに、思いがけなくも信長自身が、近習たちと共に、新莚の上に立ちはだかっていて、
「礼銭を忘れずに置けよ。百文ずつの礼銭をわするるな」
と、手ずから銭を受取っては、後ろへ向って投げているのだった。
もちろん無数な群集のさし出す無数の手と銭とは、とても信長ひとりでは受けきれない。堀久太郎の部下や、近習も、手伝い手伝い受けてはうしろへ投げている。
けれど、群集の心理は、必然、信長の前へ前へと押して来た。わずか百文の税を、信長に手ずから受取って貰えるなどは、これも一代の光栄、この後はないことと思うのであった。
こうして信長のうしろには、またたくうちに、銭の山が幾つもできた。それを足軽組の者がすぐ叺につめ込んだ。そして叺詰の銭は間もなく奉行の手から城下の役所へ下げ渡され、安土の町々に窮民を尋ねて、この正月をぽかんとしていた貧民を戸ごとに賑わした。
そうして裏町の隅々まで、この正月には飢えている顔はない、と想像することも、信長にとってはやはり一つの愉楽だった、自己の正月を大らかにするものだった。