Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lisez 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) de 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 240 656 caractères · 478 écrans
不興げに治右衛門の上を走ったお目が、うしろへ流れました。
「豊後! 豊後!」
「ははッ」
するすると出てうずくまったのは、大目付溝口豊後その人でした。
「そのうじ虫に活を入れい!」
「はッ」
エイッと、豊後に背を打たれて正気づいた治右衛門、キョトキョトまわりを見まわしましたが、前に立ったのが将軍家と知ると、あッとばかりに、顔をふせて、砂利へくい入るようにはいつくばいました。
「よくもこの綱吉に一代の恥かかせおったな。裁きは豊後に申しつくる。なお、町人どもをどのように苦しめているやも知れぬ。仮借のう糾明せい。――目障りじゃ。早うひけいッ」
鶴の一声、とびかかった御近習の刀の下げ緒でくくしあげられた腰本治右衛門、まことあわれ千万なその姿は、おりからほのかにさしはじめた月明りの中を、一味ともども伝馬町の大牢の方へひかれて行きました。
「笑止な奴よのう! ――主水之介!」
「はッ」
「君子の謬は天下万民これを見る。よくぞ紋めの膝で諌言いたしてくれた。綱吉、礼をいうぞ」
光風霽月、さきほどまでのことには何のこだわりもない明るいお声です。見上げる退屈男の目に光るものがわきました。