Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 773 caractères · 294 écrans

Aozora Bunko

「もう、よせ! もうこのくらいでいいんだ。」

山犬の声に似たどら声がきこえて、彼の周囲が急に明るくなったと思った時には、彼は地べたに横向きにころがっていた。彼の顔のまんまえには、ペンキのはげた指揮台が、二つ三つ節穴を見せて立っていた。

彼は、じっと耳をすました。

「馬鹿な奴だ。」

そんな声がどこからかきこえた。

彼は、その声をきくと、無意識に起きあがった。そして、くるりと向きをかえて新入生の方を見た。彼はもうすっかり落ちついていた。新入生たちは、みんな青い、おびえきったような顔をして、彼を見ていた。その青い顔の両側に、五年生たちが、にやにや笑って立っているのが、はっきり見えた。

次郎は、その光景を見ると、これからどうしたものかと考えた。もとの位置に帰る気には、とてもなれなかった。かといって、いつまでもそのまま立っているわけには、なおさらいかない。彼は、しばらく、じろじろと周囲を見まわしていたが、ふと目のまえに、ふみにじられたようになってころがっている帽子が眼についた。それは、彼がついこないだ父に買ってもらったばかりの、そして、きのうはじめて、組主任の先生に渡された新しい徽章をつけたばかりの、彼の制帽だった。