Classiques japonais avec furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 773 caractères · 294 écrans
八 蟻にさされた芋虫
「そんなにまるまっていないで、足をおのばしよ。」
お祖母さんの声は、もうふるえてはいない。やがて電燈のスイッチをひねる音がした。暗くなったのが、ふとんをかぶっていても、よくわかる。
が、またすぐぱっと明るくなった。そして枕元に足音が近づいたかと思うと、次郎のふとんの襟がすうっとあがった。お祖母さんが次郎の顔をのぞきこんだのである。
次郎は眼をはっきり開き、上眼づかいでお祖母さんを見た。
「そんな根性で、中学校にはいったって、何の役に立つんだね。」
お祖母さんは、毒々しく言って、ふとんの襟をばたりと次郎の顔に落した。次郎はしかし、身じろがなかった。
やがてまた電燈が消えて、お祖母さんの階下におりて行く足音がした。
「次郎ちゃん、すまなかったね。早く寝よう。」
恭一が涙声で言った。
「うん。」
次郎はふとんの奥からかすかに答えた。答えると同時に、彼の眼からは、とめどもなく涙がこぼれ出した。彼が、やっとほんとうに眠ったのは、恐らく二時にも近いころであったろう。
八 蟻にさされた芋虫
翌日、次郎は、枕時計がまだ鳴らないうちに眼をさましてしまった。
彼は、かなり眠ったような気もし、またまるで眠らなかったような気もした。