Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 773 caractères · 294 écrans
次郎は何だか気がかりだった。しかし、どんな寝言だったかを問いかえしてみるだけの楽な気持には、まだなっていなかった。するとお芳が、またえくぼを見せながら、
「どんな寝言だったと思うの。」
「わかんないなあ。」
「教えてあげましょうか。」
「ええ。」
「それはね――」
とお芳は少し間をおいて、
「母さん、母さんって。――」
次郎は、はっとしてお芳を見た。お芳のえくぼは、まだ消えていなかった。しかし、次郎の眼には、そのえくぼが妙にゆがんでいるように見えた。
次郎は、いそいでふとんを頭からかぶってしまった。するとお芳が枕元によって来て、
「次郎ちゃんは、きっと亡くなったお母さんを呼んでいたのね。でも、あたしもうれしかったわ。」
次郎はふとんの中で、思わず身をちぢめた。そして、心のうちで、
「うそつけ!」
と叫んでみた。しかしそれはまるで力のない叫びだった。彼は生まれてこのかた感じたことのない妙な感じに包まれていた。それは嬉しいような、それでいて腹が立つような感じだった。
(どうして母さんと呼ばなければならないのだろう。もし叔母さんと呼んでもいいのなら、どんなにでも気安く話が出来るのに。