Classiques japonais avec furigana
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しのよこく
死の予告
野村 胡堂
Lisez 死の予告 (しのよこく) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 149 caractères · 34 écrans
私が其処から散歩に出たのは、騒のあったほんの五分ほど前だから、私が庭へ出ると同時に、反対側の廊下の入口から、大川が入ったにしても、書斎の中には五分とも居なかった筈だ。それがどうだろう医師の診断によると、死因は炭酸瓦斯中毒と、言うではないか。そんな事があるものだろうか――尤も私は疳性で、朝のコーヒーは自分で入れなければ承知しない。その日は春と言っても、少し薄寒かったので、コーヒーを入れた後の瓦斯ストーブを、そのまま点けっ放しにして居たことは事実だ。併しそんな事で炭酸瓦斯中毒を起すものなら、あの書斎に住んで居る私は、とうの昔に死んで居なければならぬわけだ。医師がそう診断して、誰も疑わないものを、私はそれ以上彼れこれ言う必要も無いようなものだ、がどうも私には腑に落ちないことがある。千種君、これは誰にもまだ言わずに居るが、実は一週間も前からあの事件は予告されて居たことなのだ」
「予告? 書生さんが死ぬという予告ですか」
「いや、書生の大川は過って死んだのではなくて、私と間違えられて殺されたものらしい」
「エッ」
「予告は私にだけわかるような一種の形式で、あの日私に危害を加えるという事が書いてあったのだ」