Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
Lisez 死者の書 (ししゃのしょ) de 折口 信夫 (おりくちしのぶ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 62 340 caractères · 126 écrans
可愛しいおれの名は、そうだ。語り伝える子があった筈だ。語り伝えさせる筈の語部も、出来て居ただろうに。――なぜか、おれの心は寂しい。空虚な感じが、しくしくと胸を刺すようだ。
――子代も、名代もない、おれにせられてしまったのだ。そうだ。其に違いない。この物足らぬ、大きな穴のあいた気持ちは、其で、するのだ。おれは、此世に居なかったと同前の人間になって、現し身の人間どもには、忘れ了されて居るのだ。憐みのないおっかさま。おまえさまは、おれの妻の、おれに殉死にするのを、見殺しになされた。おれの妻の生んだ粟津子は、罪びとの子として、何処かへ連れて行かれた。野山のけだものの餌食に、くれたのだろう。可愛そうな妻よ。哀なむすこよ。
だが、おれには、そんな事などは、何でもない。おれの名が伝らない。劫初から末代まで、此世に出ては消える、天の下の青人草と一列に、おれは、此世に、影も形も残さない草の葉になるのは、いやだ。どうあっても、不承知だ。
恵みのないおっかさま。お前さまにお縋りするにも、其おまえさますら、もうおいででない此世かも知れぬ。
くそ――外の世界が知りたい。世の中の様子が見たい。